January 7, 2006

35. rising above borders.

◆ 境界/国境 ◆
常々フリーペーパー等の活動を通じて、専門分野を隔てる境界/borderについて考えています。

世界には様々な「専門分野」が存在します。そして、それぞれの専門分野はその内部でさらに細分化され、洗練されればされるほど外部との交流が難しくなるという皮肉な結果を生んでいます。 - フリーペーパー『fifthJ』ウェブサイトより

でも今日は、国と国とを隔てるborder/国境についての話。

……国境というのは面倒なものだ。しかし、面倒だからといって、今すぐ取り払ってしまえるものでもない。だから余計に面倒なものである……

こんなことを毎日のように感じています。それは、僕のガールフレンドが海外(アゼルバイジャン)に住んでいるから。「何もそんなところに住まなくたっていいじゃないか」と思われそうですが、そこで生まれ育った、その国の人だから仕方ないですね。今のところ。

◆ バックグラウンドに頼らない ◆
ただし、僕の場合、文化的なバックグラウンドの違いなどは特に気にならない。「はじめにソーシャル・グループありき」というスタンスでいると厳しそうですが、枠組みに囚われず、個人と丁寧に接するようにすれば、どんな文化圏の人とでもそれなりの対話が実現する気がします。

また、そういう意識を持っていると、「日本の文化を共有している」とか「日本語という母語を共有している」ということから生じる連帯感などは、非常に頼りないものだということが見えてきます。互いのことをわかったような気になってしまう分だけ、余計に危険であるとも言える。つまり僕は、社会集団・文化集団の連帯よりも、バックグラウンドに依存しない個性(バックグラウンドを前提とした個性ではなく、バックグラウンドが個性の一要素として存在する状態)を大切にしたいと思っているわけですね。

しかしそれだけに、国境がもたらすプラクティカルなレベルでの不便さというものは、常に気懸かりな存在となっています。

◆ 消えたケーキ ◆
細かいことを挙げていたら限がありませんが……例えば、前の記事でちょっとだけ書いた、去年のバレンタインデーの話。彼女は、僕にケーキを贈ってくれようとしました。しかし、郵便では何日かかるかわかったものではないし(航空便でも1ヶ月以上かかることはめずらしくありません)、FedExのような国際宅配便を利用するにしたって、そもそもケーキを空輸するのもなぁ……。というわけで、彼女は、日本企業のインターネット通販を利用するという方法を取ってくれたのです。ナイスアイデア!

ところが、指定日の2月14日になってもそれが届かない。念のため、数日間待ってみても、全然届かない。そこで、その店にメールで問い合わせてみると、「クレジットカードの認証ができなかったので、できるまで何回か試してみようと思ってました」とのこと。まったく、野暮な対応をしてくれるものだな。もちろん、その品物はキャンセルしました。

◆ ついでにネックレスも ◆
贈り物に関して言えば、もっと原始的な事故もありますね。これは、僕が彼女に小さなネックレスをプレゼントしようとしたときのことです。もちろん、直接手渡すわけじゃないから、万が一に備えて高価なものは選びません。僕はまず、そのネックレスを小袋に包んで、口をホチキスで留めました。そして、それを手紙と一緒に封筒に入れ、糊とテープで封をした。

さて、時間はかかりましたが、彼女のもとに僕からの封書が到着。彼女はテープをはがし、糊付けされた封を切りました。手紙と一緒に中から出てきた小さな袋は、ホチキスで口が留められています。中身を楽しみにしながら、ホチキスの針をはずすと……何も入ってないのね。なんだそれ。

「なくなるといけないから、高価なものは送るまい」そう用心したものがきちんとなくなってしまうのだから、大したものだ。っていうか、中身を抜いた後に、封を完璧にもとに戻して外側だけ届けるってのは、どういうことなんですかね。

◆ というわけで ◆
とまあ、色々ありますが、先ほど書いたように、細かいことを挙げていたら本当に限がないです。追々、他のエピソードを紹介する機会もあるかもしれません(もっと真面目なエピソードだって、ちゃんとあるんですよ)。

先進国を中心とするコミュニティの中だけで過ごしていると、国境の理不尽さに対面する機会は多くないでしょう。しかし、理不尽さは確実に存在します。

国が違うから、言葉が違うから、文化が違うから。そうやって、国境が生み出す現実的な不便性を見ないことにするのは簡単です。でも、そんなのつまんないですよね。逃げず屈せず、七転八倒するのことに、意外な充実感を覚えたりするものです。

rising above borders.
すべては得がたい経験、明日への糧なのだ。

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